お役立ちコラム

Column

賃貸経営における減価償却とは?計算方法も解説

2023/05/26 10:00
賃貸経営における減価償却とは?計算方法も解説



賃貸経営において減価償却は、税金に関わる重要な会計上の処理です。

しかし計算が複雑であるうえに法改正も行われているため、正確に把握できている方は少数です。

 

本記事では、減価償却についての基礎知識と計算方法について詳しく解説していきます。

賃貸経営をしている方は参考にしてみてください。



賃貸経営における減価償却とは


減価償却とは、事業などで利用されている建物や設備などの時間の経過に伴って減っていく価値を、帳簿上の建物価値から差し引く会計処理のことです。

 

減価償却を決まった計算式で求めたものが「減価償却費」になります。

減価償却費は、実際には支出していない経費として計上できるうえ不動産所得を圧縮して所得税を軽減することができるため、賃貸経営において重要な要素です。

時間経過によって劣化することがない土地は、減価償却の対象ではないので混同しないようにしてください。



減価償却の計算に必要な法定耐用年数


法定耐用年数とは、財務省が定めている不動産や車、機械など資産ごとに定められている、耐用年数のことです。

税務上で利用するために設けられているもので、実際に劣化などで使用に耐えられなくなる物理的な耐用年数とは異なります。

 

この法定耐用年数は減価償却費を求めるために必要なものであるため、賃貸経営を行っているなら理解しておくことが必要です。

不動産の減価償却費に関係ある、建物と設備の法定耐用年数について紹介していきましょう。



建物本体の耐用年数

不動産の減価償却費を計算するためには「木造・コンクリート造(RC造)・鉄筋コンクリート(SRC造)」といった建物の構造と建物の用途ごとに定められている、法定耐用年数を知っておきましょう。

 

詳しい構造・用途ごとの法定耐用年数は、以下を参考にしてください。


参考資料:耐用年数表(国税庁)


設備の耐用年数

法定耐用年数は、建物だけでなく建物と一体となって機能する設備である「建物附属設備」にも定められており、建物と分けて減価償却ができます。

 

建物付属設備の法定耐用年数は、以下の通りです。

参考資料:耐用年数表(国税庁)


建物附属設備の減価償却は忘れがちなので注意してください。



減価償却の計算方法


賃貸経営における「減価償却費」を計算する方法は「定額法」と「定率法」の2種類です。

それぞれ計算方法が異なるため、資産の減り方と費用の計上の方法も異なります。

 

ここでは、減価償却費の計算方法である「定額法」と「定率法」について解説していきましょう。


定額法

定額法とは、毎年一定額の減価償却費を計上する計算方法です。

 

具体的な計算式は以下になります。

「取得価格×定額法の償却率=減価償却費」

 

上記の償却率を調べるためには、建物などの耐用年数が必要になります。

定額法の償却率については、減価償却資産の耐用年数等に関する省令の別表第八に記載されているので確認してください。

2016年4月1日以降に取得したアパートやマンションの建物は、原則として定額法が適用されることを覚えておきましょう。


定率法

定率法は、資産の残存価値に対して一定の償却率で減価償却費を差し引く計算方法です。

 

計算式は以下のようになります。

 

「未償却残高=取得価格−累計の減価償却費(初年度は0円)

減価償却費=未償却残高×定率法の償却率」

 

定率法の償却率に関しても定額法と同様に、減価償却資産の耐用年数等に関する省令の別表第八に記載されているので確認してください。


2016年の税制改正で「建物・附属設備・構築物」は、定率法の使用が廃止されているため参考程度に覚えておけば十分です。



減価償却費を計上する際の注意点


減価償却費を計上する際は、注意点を理解しておくようにしてください。

 

注意点を理解しておくことで、減価償却費の計算間違いなどを防げるためです。

ここでは、減価償却費を計上する際の2つの注意点について解説します。


新築物件と中古物件で減価償却費の計算の仕方が異なる

新築物件と中古物件では、減価償却費を計算するための法定耐用年数が異なります。

中古物件の場合は新築物件と違い、法定耐用年数の計算が必要なので覚えておきましょう。

 

計算式は以下の通りです。

 

  • 法定耐用年数の全部を経過している場合:「耐用年数=法定耐用年数×20%」
  • 法定耐用年数が残っている場合:「耐用年数=残存法定耐用年数+(経過年数×20%)」

 

中古物件の減価償却費を計算する際は、上記のどちらに該当するのか確認しておきましょう。


設備と建物は分けて計上する

減価償却費を経費として単年でできるだけ計上するためには、設備と建物を分けて計上することが重要です。

 

「建物附属設備・器具備品」といった項目は建物本体に比べて耐用年数が短く、計上できる減価償却費も多くなるためです。

 

建物と設備を分けて経費計上したほうが、6〜15年程度の期間にわたり課税所得を圧縮できるうえ所得税を軽減することができます。

建物と設備を一括して計上するよりも、短期的には高い節税効果が期待できることを知っておきましょう。

 

賃貸経営を始めてから数年間は資金的にも苦しいケースが多いため、資産の種類ごとに分けて計上することをおすすめします。



減価償却を理解して正確に計上しよう

減価償却は賃貸経営にかかる税金に関わる重要な手続きです。

 

しかし、減価償却の費用を求めるための計算は非常に複雑なうえ、法改正も行われているため正確に理解できていない方も少なくありません。

減価償却について理解していない場合、納税額を誤る事態にもなりかねません。

 

このような事態を避けるためにも、本記事では減価償却についての基礎知識と計算方法について詳しく解説していきました。

賃貸経営をしている方はぜひ参考にしてみてください。







新規会員登録はこちら
TOP